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ギターは体の一部?

毎日忙しいなぁ、なんて言ってたら髪の毛が伸び放題です。そろそろ散髪に行かないと・・。

ところで、この「髪の毛」は、あなたですか?あなたではないですか?
殆どの人は、「自分に決まっている」と言うでしょう。しかし、では散髪した後床に落ちている髪の毛を拾って同じ質問をされたらどうでしょう?この髪の毛はあなたですか?これはもう、自分ではないですよね。

私は昔からこの事をすごく疑問に思っていました。さっきまで自分だったものが、切られただけで自分でなくなることが不思議だったのです。そして、クラシックギターを弾くようになってこの疑問に拍車がかかるようになりました。なぜって、同じ事は髪の毛だけでなく「爪」にも言えて、クラシックギタリストと爪とは文字通り「切っても切れない」関係だからです。

クラシックギターを弾く人は、弦を押さえる左手の爪は短く切り、弦をつまびく右手は紙ヤスリを使って磨くわけです。右手の爪は、もうこれは自分の一部、まさに商売道具で丁寧に丁寧に磨きます。しかし、左手の爪は伸びてくると「邪魔だなー」てなもんでちょっきんです。そして、そんな左右不揃いな指先を見るにつけ、「自分と自分以外を分ける境界線ってなんなのだろう」なんて思うわけですね。磨いている右手の爪は「自分」なのに、切った左手の爪は、そこに落ちていて自分ではないのですから。

さて、話はクラシックギターのまつわる話に変わります。

学生時代のある時、私はジュリアーニの「大序曲」に取り組んでいました。この曲は、華やかで美しくて、しかもギターの性質をうまく引き立たせている素晴らしい曲ですね。私は、この難曲を弾き通せるようになったこと、しかも(当時の自分なりには)指が回って弾ける(と思い込んでいた)状態で、「俺もうまくなったもんだ」と要するに天狗になっていました。そして、ギター教室の発表会でいざ本番に臨むと、これが指が回らない。焦って弾けば弾くほどギターが遠くに行ってしまう感覚。確かに抱いているはずのギターが、「こんな取り組み方じゃ相手してあげないよ」と私を置いてどこかにいってしまいました。この残念で貴重な経験は、私に「いかにギターと一体になることが重要か」と言う課題を突きつけてくれ、その後の取り組み方を考える契機となりました。

道具と身体の関係と言う意味では、「進化しすぎた脳」(池谷裕二著・ブルーバックス新書)の中に非常に興味深い箇所があります。

(以下、P91より引用)
とりわけ体と脳の関係は、なかなか微妙。サルには手を認知する神経があるけれど、遠くにものがあって手が届かない時に道具を使う。そのサルが棒を使ってものを引き寄せると、指の先の方で反応していた神経が、今度は棒の先の方で反応するようになる。この感覚わかるでしょ?だって僕たちにもあるもんね。ほら、大きな荷物を肩に担いで運んでるとしようかな。いつもだったらすんなり通れるような狭い道を通るとき、大きな荷物の先まで神経が行き渡るように感じるね。おそらく、ああいう時には、大きな荷物まで含めて「ひとつの体」として脳が管理してるんだろう。体の一部とみなす。その瞬間にだけ、自分の体がおおきくなってるってこと。
(引用終わり)


この話を読んだとき、「あぁ、自分があの時舞台の上で感じた疎外感はあながち間違っていなかったんだな」と思うことができました。つまり、それまで普段意識しなくてもギターを「体の一部」とみなして管理していたのに、むしろ意識せずに管理していたせいで、「いざ本番」と言うときになって緊張や不安から上手く管理することができなくなり、ギターが「自分の体」ではなくなっていったのだろうと思います。そしてそれが表われたのが、大序曲と言う大曲に対して「俺弾ける!」と言うおごった態度で臨んだがためだったのだろうと。

散髪に行きたいと言うスタートから偉く遠くまでやってきましたが、、w
自分と自分以外の境界線って本当に不思議だと思います。しかし、少なくとも脳には、自分の指・爪だけでなく楽器さえも「体の一部」として管理する能力があるのですから、ここを敏感に鍛えて自由自在な音楽につなげていきたいですね。そして、楽器から放たれた音楽を介して、聴衆とすら一体化することができたら、なんて思います。
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まとめ【ギターは体の一部?】

毎日忙しいなぁ、なんて言ってたら髪の毛が伸び放題です。そろそろ散髪に行かないと・・。ところで、この

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住所:兵庫県宝塚市
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